生成AI特集:海外企業の事例分析|設計プロセスの再設計を支援するAutodeskの生成AI

Autodesk(米国・設計支援)

Autodesk(米国・設計支援)

Autodesk(米国・設計支援)

Autodeskは、建築・製造・土木・インフラ分野向けの設計支援ツールで知られる米国企業である。近年では、設計者のノウハウや判断基準といった「設計知」を取り込み、設計プロセスを再設計する要素として生成AIを活用している。加えて、オープンAPIなどの基盤整備を通じて、企業の業務プロセス改革を支援するクラウド基盤提供者としての立場を強めつつある。

 

1. 生成AIによる「設計知」支援機能

 

Autodeskは生成AI的な支援機能※1を主力製品に組み込みつつある。

 

製造業向けの「Autodesk Fusion」では、設計者が定義した制約条件や目標に基づき、設計工学的な(力学的・構造最適化)観点からAIが複数の設計案を自動生成するジェネレーティブデザイン機能を備えている。設計者はその中から適切な案を評価・選択し、修正を加えることで、AIと人の協働による設計プロセスが実現している。

 

同様に、建設業向けの「Autodesk Forma」では、日照・風・騒音・眺望といった環境条件や敷地情報をもとに、建物の配置や形状パターンをパラメーターに応じて自動生成・提案する支援機能※2が備えられている。

 

このように、設計者がAIから提示された複数の案を迅速に比較・検討・調整するプロセスが構築されている。

 

※1:Autodesk社の技術は、厳密には生成AI(Generative AI)とは異なる技術体系(最適化アルゴリズムベース)に基づくが、AIが設計案を自動生成し、それを人間が評価・選択する「協働の構造」においては、生成AI的アプローチと捉えることができる。2024年には「Autodesk AI」として、生成AI技術を活用した新機能が「Fusion」に正式に実装され、設計支援機能における生成AIの活用が本格化している。

※2:設計案の自動生成という点では共通しているが、Fusionでは構造最適化に基づく3D形状生成、Formaでは都市計画案のパターン提示が主となる。

 

2. 業務プロセスの再設計を支えるプラットフォーム戦略

 

Autodeskは、生成AIの導入と並行して、業務プロセスの再設計を支えるインフラの整備にも注力している。特に以下の2点が中心となる。

  • 開発者向けAPI群の提供

    「Fusion」や「Forma」など同社の主要製品で扱われる設計データを、クラウド上で変換・閲覧・連携・管理できるようにするAPI群として、Autodesk Platform Services(APS)を提供している。これにより、自社製品間だけでなく外部アプリとの接続も可能となり、APSはデータ活用の共通基盤として機能している。

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  • オープンプラットフォーム化による共創の推進

    APSは外部開発者にも公開されており、パートナー企業や開発者コミュニティとの共創を通じてエコシステムの拡大が進んでいる。APSを活用することで、自社固有の業務プロセスや判断基準に適した、「BIM検査ツール」などのAI支援ツールや「業務手順可視化アプリ」などの設計支援アプリケーションを柔軟に構築できるようになっている。

 

生成AIの導入とこれらのインフラ整備により、Autodeskは従来の「標準的な設計ツールの提供者」から、「業務プロセスの再設計を支援するクラウド基盤提供者」※3 へと進化している。

 

※3:従来の設計ツールの提供者にとどまらず、APIやデータ連携基盤を通じて他社の業務プロセスを再設計可能にする存在。共創型エコシステムの中核を担う。

 

※以下の節と情報源は、PDF版全文をご参照ください

 

  • 3. 導入・活用事例
  • 4. まとめ(知見・示唆)
  • 情報源一覧(出典リンク含む)

 

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生成AI特集「海外企業の事例分析」Autodesk

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